「スノーグース」感想

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スノーグース (新潮文庫)

スノーグース (新潮文庫)

ポール・ギャリコを初読み。「スノーグース」「小さな奇蹟」「ルドミーラ」の短編3作を収録。

とにかく、表題作の「スノーグース」が白眉の一作。自然の情景や人間の心理描写が細やかで美しい。決して難解な構成ではなくて、じわじわと心に染み入る叙情感がたまらないのです。教訓や説教臭さが表立っていないのも自分好み。

残りの二編も良作。キリスト教も絡んでいる話で、そういった面での興味も惹かれました。

矢川澄子さんの翻訳、雑誌『幻想文学』の表紙でお馴染みだった建石修志さんの挿画も素晴らしく、幻想小説短編集として出色の一冊だと思います。