「葦と百合」感想

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葦と百合 (集英社文庫)

葦と百合 (集英社文庫)

1991年作。解説は法月綸太郎。そして有栖川有栖『有栖の乱読』でも100冊リストに挙げられているように、ミステリーの構造で書かれている作品ですが、しかし……。

ちょっと取っつきにくいですが、流れに乗れば、どんどんと読めます。終盤は複雑な構成になってきて、混沌と。

本格ミステリ・クロニクル 300』の評によれば、横溝正史中井英夫大江健三郎などが引き合いに出されているものの、自分の読書量ではそこまでの読解は無理。ミステリーとしてというよりも、中盤での民俗学的な伝説物語など、幻想小説的なところを面白く読みました。

【有栖が語るミステリ100】読了26作目
本格ミステリ・クロニクル 300】読了35作目 1991年作

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「杉原千畝物語」感想

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杉原千畝物語―命のビザをありがとう (フォア文庫)

杉原千畝物語―命のビザをありがとう (フォア文庫)

1995年刊の再刊(2003年)。杉原千畝さんの妻と長男による共著の児童向け伝記。大まかなことはニュースや記事などでもちろん知っていましたが、これほどのまとまった記述に触れたのは初めてでした。

妻の視点で書かれているので、各地での近所付き合いや家族に対する思いなど、その時々の感情を追うことができます。

【光村図書 小学校教科書 国語 5年 紹介図書 平成27年度】

「カモメに飛ぶことを教えた猫」感想

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カモメに飛ぶことを教えた猫

カモメに飛ぶことを教えた猫

チリ出身作家による原著は1996年作。ネコとカモメの異類友情譚。主人公の猫が他の猫たちなどと協力しながら、カモメの子を育てることになるストーリー。

環境汚染や人間社会に対する寓意もありますが、それほど説教臭くはありません。物語の最後に人間が関わってくるのは希望の証しでしょうか。児童向けに書かれていることもあって、お話は平易でテンポ良くユーモアにもあふれ、さっと読めてしまいます。猫小説としても良作(表紙の絵もかわいらしい)。

【光村図書 小学校教科書 国語 5年 紹介図書 平成27年度】

「霧のむこうのふしぎな町 新装版」感想

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霧のむこうのふしぎな町(新装版) (講談社青い鳥文庫)

霧のむこうのふしぎな町(新装版) (講談社青い鳥文庫)

1975年作。『千と千尋の神隠し』に影響を与えたそうです。

神社の先に広がる森を抜けると、そこにはヨーロッパ風の町。少女が不思議な住人たちと不可思議な交流をしていくファンタジー。

不思議の国のアリス』ほどの理不尽さやグロテスクさはないけれど、ちょっとおかしな体験が続いていきます。多少の寓意はあるにしても、素直に「めちゃくちゃ」幻想の世界に浸るべし。ああ楽しいかな、楽しいかな。

ちなみに、読んでいて思い浮かべたのが、谷山浩子『悲しみの時計少女』。これも不思議な住人たちとの交流が続いていくファンタジー。久しぶりに読み直してみたくなったなあ。

荒俣宏 新編 別世界通信 180冊+5】読了3作目
【光村図書 小学校教科書 国語 5年 紹介図書 平成27年度】

「僧正殺人事件」感想

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1929年作。童謡見立て殺人の元祖とも言うべき作品。

序盤・中盤は読むのにやや難儀なところがあるも、終盤はサスペンスフルでスリリング。ロジックのスマートさは無いけれど、物語の着地は劇的です。

裏表紙紹介文にある「心理学的手法で挑むファイロ・ヴァンス」という表現通りで、物証の扱いはわりと雑なところも。ヴァンスが暴く犯人の心理や、駆け引きが読みどころでしょうか。

なお、解説は山口雅也氏。

【本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド】読了14作目
【新版 東西ミステリーベスト100 海外編】読了16作目 18位
【旧版 東西ミステリーベスト100 海外編】読了17作目 9位
長門有希の100冊】読了8作目

「ユージン・スミス」感想

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ユージン・スミス―楽園へのあゆみ

ユージン・スミス―楽園へのあゆみ

「楽園へのあゆみ」で著名なフォト・ジャーナリスト、ユージン・スミスの伝記。

日本に縁が深く、沖縄戦では重症を負い、水俣に住みながら水俣病を追う。特に水俣病についての記述は、最近も原因企業の社長による発言が問題となっていたこともあり、興味深いものでした。

戦争や公害というテーマに加え、ユージンの生活や仕事ぶりは女性関係も含めてかなり荒れており、小学生向けの児童書ですが、重たい話が続きます。長倉洋海さんによる解説も素晴らしい。

【光村図書 小学校教科書 国語 5年 紹介図書 平成27年度】

「“文学少女”と穢名の天使」感想

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“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

オペラ座の怪人』がモチーフなだけあって、話がダークで重たい。特に出てくる大人たちの醜悪さといったら。

オペラ座の―』のストーリーを上手く取り込んでいて、なおかつ意外性もあります。桜庭一樹の『砂糖菓子―』とまではいかないにしても、少女(少年)たちの厳しく辛い物語。

ここまで踏み込んで、振り切って描写することができるのは、ライトノベルというレーベルの懐の深さでしょうか。なかなかの力作で、心に染み入るシリーズ第4作でした。