「“文学少女”と恋する挿話集」感想
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- 作者: 野村美月,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/12/26
- メディア: 文庫
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2009年刊。文学少女シリーズ短編集。
『無口な王子と歩き下手の人魚』に尽きます。私は「弱者(ex.病人)である者(ex.少女)を庇護下(=支配下)に置いて承認欲求を満たしながら、最終的にその弱者に自己の存在を依存する……」という構造が嫌いなのですが、この短編における美羽は明確にその関係性を拒否していて、かつ、最後には対等の立場になり、そして芥川の側にも「痛み」を与えている(ここ大事)という構成は見事としか言いようがありません。素晴らしい。
あとは『蟹工船』モチーフの作、『はつ恋』モチーフの冒頭作も面白い。粒ぞろいの良作。