「“文学少女”と恋する挿話集」感想

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“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫)

“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫)

2009年刊。文学少女シリーズ短編集。

『無口な王子と歩き下手の人魚』に尽きます。私は「弱者(ex.病人)である者(ex.少女)を庇護下(=支配下)に置いて承認欲求を満たしながら、最終的にその弱者に自己の存在を依存する……」という構造が嫌いなのですが、この短編における美羽は明確にその関係性を拒否していて、かつ、最後には対等の立場になり、そして芥川の側にも「痛み」を与えている(ここ大事)という構成は見事としか言いようがありません。素晴らしい。

あとは『蟹工船』モチーフの作、『はつ恋』モチーフの冒頭作も面白い。粒ぞろいの良作。