「死体展覧会」感想

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死体展覧会 (エクス・リブリス)

死体展覧会 (エクス・リブリス)

イラク出身の作家による短篇集。10ページ前後の作品が14編。

戦争やテロ、死と暴力が日常にあるなかで、現実と幻想が入り混じったような話が多くあります。

「穴」や「自由広場の狂人」のように幻想度の高いものが好きですね。特にナイフを消す能力を持った者たちを描いた「アラビアン・ナイフ」は素晴らしい奇想譚。

ここで描かれている暴力や戦争は、今現在の現実の世界とつながっているので、読んでいて苦しくなります。頭の中で、ニュースで見た映像や写真などが浮かび上がってくる。

特に反戦を訴えたり、感傷を誘うようなこともありません。淡々とした筆致で死が描かれています。