「西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集」感想

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西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

過度の文明批判や自然礼賛は苦手だし嫌いだ。だから、少し説教的な感じも受けるこの物語に、読みながら所々引っかかりを覚える。

でも、最後には泣いてしまうのだ。そして、もやもやが残る。物語をどこか拒絶する自分と、心打たれてボロボロと泣いている自分との狭間で。

そう、これは魔女の修行なんである。つまり、自分は読みながら魔女の修行をさせられているのだ――。

10年ほど前に新潮文庫で読み、前日・後日譚の付された愛蔵版刊行を知っての再読。いま読んでも、やはり心に浸み入る素晴らしい物語でした。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

愛蔵版「西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集」を読んだ直後で、この文庫版に併録されている後日譚「渡りの一日」を目当てに読みました。

ちょっぴり成長して新たな一歩を踏み出したまいの姿が描かれています。書かれたのは約20年前の1996年で、その時代の社会的な空気も感じられますね。今読んでも、変わらずに色々と思いを巡らせることになる物語です。