「GOTH 夜の章・僕の章」感想

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GOTH 夜の章 (角川文庫)

GOTH 夜の章 (角川文庫)

GOTH 僕の章 (角川文庫)

GOTH 僕の章 (角川文庫)

上巻・夜の章)
久しぶりの再読。初読時はライトノベルという認識で読んだような記憶が。初めて読んだ乙一作品で、このあと続けて著者作を読み漁ったものです。

著者があとがきで語っているように、人間を描くことを意図的に排しているため、独特な悪趣味の小説になっています。さらに本格ミステリのコードで書かれているので、異形ながらも妙な現実味があり、何とも言えない読み心地。

下巻(僕の章)へと続きます。当時のライトノベル作家としての思いを綴ったあとがきが興味深くて、下巻のあとがきだけ先に読んでしまいました。


下巻・僕の章)
感情移入が難しいため(←それは本作の欠点ではない)、読者と作品に一定の距離がおかれ、そこに本格ミステリとしてのトリックが絡んできます。現実的な論理で解決されるものの、主人公をはじめとした登場人物がみな異形なために現実感がつかみにくい。この乖離の感覚は、初読時にインパクトがありました。

今回はミステリという意識で読んだこともあり、作者の技巧に唸らされました。現実世界を一応は描いているものの、作者が構築した人工的な世界での幻想小説という感じもして、印象に残る一作です。


【本格ミステリ・クロニクル 300】読了29作目 2002年作
【本格ミステリ・ディケイド 300】読了7作目
【金原瑞人 ふしぎ文学マスターが薦める100冊 https://goo.gl/6TMs7H 】読了30作目