「猫を抱いて象と泳ぐ」感想

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猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

将棋ファンとしての感想を。

将棋界では「棋は対話なり」という言葉があります。テレビで加藤一二三九段が、棋譜を楽譜になぞらえた話をしていました。手付きや駒音も棋士によって違いがでます。対局中に会話がかわされなくとも、観ている者には感情が伝わってきます。

寡黙な少年が社会の片隅でチェスとともに生きていく物語。本書では、盤上の棋譜が生み出す切なさや哀しさ、怒りと喜びが、美しい筆致で描写されていきます。

随所に将棋とも通ずるところがあります。駒は取られる瞬間が一番働く、最強の手と最善の手は違う、将棋でもよく聞かれる言葉です。

将棋ファンにもオススメの傑作。

【金原瑞人 ふしぎ文学マスターが薦める100冊 https://goo.gl/6TMs7H 】読了39作目