「針の誘い」感想

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1970年作。誘拐物の本格ミステリ

トリックは大がかりではなくわりと地味目ですが、小技を重ねながらのストーリー運びが上手くて、ぐいぐいと読ませます。

多少古びている感はあれど、面白く読めました。

【有栖が語るミステリ100】読了34作目

「更級日記」感想

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更級日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

更級日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックス 日本の古典。入門者向けの抄訳。

2頁ほどの現代語訳 → 原文 → 解説 という構成が素晴らしい。脚注方式ではないので、まったくストレスなく読めます。ルビも丁寧に振られている。解説も分かりやすく、挿入されるコラムも効果的です。

源氏物語全巻ゲットに喜んだり、理想と現実のギャップに悩んだり、1000年前の王朝女性の内心が気取らずに書かれていて、まさに日記という感じ。現代でも共感できるところは多いでしょうし、古典に親しみが持てる内容です。面白かった!

【『“文学少女”と恋する挿話集 1』モチーフ】

「消える総生島」感想

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1995年作。元は講談社青い鳥文庫なので、児童向けです。

クローズドな孤島+館もの。初期の島田荘司の著作を彷彿とさせるような大トリックが、ライトに楽しめます。

舞台の洋館は霧越館、中村青司という名前もちらっと出てくるなど、綾辻ファンはニヤリ。色んな本格ミステリの小ネタが随所に散りばめられていて、そこも楽しい。

本格ミステリ・クロニクル 300】読了40作目 1995年作

「りら荘事件」感想

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りら荘事件 (講談社文庫)

りら荘事件 (講談社文庫)

鮎川哲也の長編を読むのは初めて。非クローズドの山荘もの。

初刊は1958年で、さすがに文章表現や会話に古くささはあるものの、60年後のいま読んでも十二分に面白い。

随所に小技や伏線が大胆に散りばめられていて、本格を読み慣れていれば怪しいと気付くような記述が、最後に収束していく爽快感。

ツッコミ所はたくさんあったとしても、それを上回る楽しさがあり、後の新本格派へと続く源流であることが、はっきりと分かります。

あと、ノンフィクションっぽい「三人称作者視点」のような小説をあまり読んだことがなかったので、小説の語り口としても面白かったです。

【有栖が語るミステリ100】読了33作目
【新版 東西ミステリーベスト100 国内編】読了25作目 33位
【旧版 東西ミステリーベスト100 国内編】読了9作目 48位

「スノーグース」感想

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スノーグース (新潮文庫)

スノーグース (新潮文庫)

ポール・ギャリコを初読み。「スノーグース」「小さな奇蹟」「ルドミーラ」の短編3作を収録。

とにかく、表題作の「スノーグース」が白眉の一作。自然の情景や人間の心理描写が細やかで美しい。決して難解な構成ではなくて、じわじわと心に染み入る叙情感がたまらないのです。教訓や説教臭さが表立っていないのも自分好み。

残りの二編も良作。キリスト教も絡んでいる話で、そういった面での興味も惹かれました。

矢川澄子さんの翻訳、雑誌『幻想文学』の表紙でお馴染みだった建石修志さんの挿画も素晴らしく、幻想小説短編集として出色の一冊だと思います。

「宇宙は何でできているのか」感想

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宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)

宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)

以前に宇宙関連の本を少し読んでいたので、全く置いてけぼりになることはなく、なんとかついて行けました。もちろん最先端の物理・数学を自分が理解できるわけはないのだけど、筆者の熱量が伝わってくるような文章が楽しい。

直感には反するような理論が、実験や観測で次々と明らかになっていくのが、ゾクゾクとしますね。高校生の時に物理は全く興味が持てなかったのだけど、だいぶ時が経ってこうやって宇宙と関連づけて読むと本当に面白い。

「サロメ」感想

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サロメ (光文社古典新訳文庫)

サロメ (光文社古典新訳文庫)

戯曲というものをほとんど読んだことがないし、小難しいのではないかと勝手に思い込んでいましたが、読んでみたらそんなことはなく面白かった。事前に聖書の知識を少し入れていたのが、良かったのかもしれない。

登場人物のキャラクターがそれぞれ際立っているので、まさに「劇的」に楽しめます。幻想物語としても面白いですし、聖書についても知ることができます。

また、脚注や解説が非常に詳しく読みごたえがあり、全く疎い自分には勉強になりました。古典新訳文庫はたくさん読んでいきたい。