「完訳 オズの魔法使い」感想

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完訳 オズの魔法使い 《オズの魔法使いシリーズ1》

完訳 オズの魔法使い 《オズの魔法使いシリーズ1》

原著1900年作。タイトルだけは知っていましたが、読むのは初めて。

不思議の国のアリス』のように普通の少女を主人公にした、おかしく愉快なキャラクターたちとの交流、冒険が楽しく描かれています。

作者序文の通り、教訓を廃したストーリー。かかしやブリキの木こりとの会話も面白く、オズの正体にはびっくり。挿絵もかわいらしくて好みですね。

米澤穂信古典部 千反田えるの本棚30冊】読了8作目

「走れメロス・富嶽百景ほか」感想

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Eテレ「100分de名著 for ティーンズ」(2018年8月)で『走れメロス』が紹介。細かい内容は忘れていたけど、改めて読むとメロスは結構ひどいな(笑)。

本書は高校教科書に掲載実績のある短編を収録。注も教科書に準じています。『女生徒』は、14歳女子の一人称視点。こんな作品もあるんですね。いわゆる「意識の流れ」でしたっけ。読んでいてちょっと恥ずかしくなるような自意識の描写が楽しい。

富嶽百景』『トカトントン』など、どの短編も面白く読めました。国語嫌いで文豪の作品をほとんど読んできませんでしたが、こうやって読むと楽しいものですね。

「冷たい密室と博士たち」感想

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冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

1996年作。シリーズ第2作。第1作『すべてがFになる』を読んだ時と同様に、ミステリの骨格としては、クラシカルな(たとえばクイーンのような)印象を受けました。

犯人や犯行方法という解を導き出して、そこから動機を推測していくあたりは、いかにも理系らしさがあってゾクゾクとします。

犀川にも萌絵にも全面的な感情移入はできないのだけれど、個性的なキャラクター描写はむしろ好きなので、面白く読めました(このような読み方はラノベで身に付けた)。

コンピュータ回りの描写は懐かしさもあって、そこも楽しいところです。

「カラー版 ナルニア国物語 7 さいごの戦い」感想

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さいごの戦い (カラー版 ナルニア国物語 7)

さいごの戦い (カラー版 ナルニア国物語 7)

シリーズ最終巻だけあって、異教徒との戦いを描いた宗教色濃厚の一作。白いナルニア人(訳文ママ)に対して、異教徒は褐色で三日月刀を持つという分かりやすい構図。そして、どちらの神も信仰しない小人たち。厩(うまや)がポイントになるなど、他の巻よりキリスト教がさらに強く描かれています。

信仰を持たない自分が現代の価値観で読むと、違和感があるのは確か。ただ、幻想小説(ファンタジー)としてとらえれば、面白い話であったと思います。なかなか微妙な読後感でした。

「トムは真夜中の庭で」感想

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トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))

トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))

原著1958年作、カーネギー賞

子供の時に読んでいて、大時計が真夜中に13時を打つとき庭から過去へとタイムスリップする――この設定だけは覚えていました。

定番のボーイミーツガール。少年は毎晩のように過去に行きながら、少年と少女で時の流れが違うのが工夫で、終盤に向けて物語が盛り上がっていきます。ラストは感動的。

荒俣宏さん曰く「「閉ざされた庭」の最も描きこまれた小説のひとつ」(『別世界通信』)。丁寧な描写を味わいながら読みたい一冊、そして、傑作。本書(手にしたのは2000年新版)では「作者のことば」が付されていて、自作解説のようになっています。

荒俣宏 新編 別世界通信 180冊+5】読了5作目
【光村図書 小学校教科書 国語 6年 紹介図書 平成27年度】

「獄門島」感想

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獄門島 (角川文庫)

獄門島 (角川文庫)

初出1947-48年。言わずと知れた名作。初読なのに、ところどころ既視感があるのは、各種媒体でオマージュされていたりして目に触れているからなのでしょう。

クローズド、闖入者、連続殺人、猟奇、見立て、血縁――などなど、あらゆる原点の要素がてんこ盛り。ドロドロの展開ながら、過度に重苦しくもなく、さらさらと読み進めることができる軽妙さもあります。でも、映像では怖そう(映画等は未見)。

最後に分かるプロローグの妙もあって、現代本格ミステリへとつながる基本書のような名作でした。

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【新版 東西ミステリーベスト100 国内編】読了24作目 1位
【旧版 東西ミステリーベスト100 国内編】読了8作目 1位

「ソロモンの指環」感想

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ソロモンの指環―動物行動学入門

ソロモンの指環―動物行動学入門

原著1949年刊。Eテレ「100分de名著 for ティーンズ」(2018年8月)で、瀬名秀明さんが紹介している本。以前、著書『科学の栞』でも紹介されていました。

動物行動学入門との副題がありますが、動物の観察日誌(エッセイ)のような感じで、楽しく読むことができます。「刷り込み」理論を提唱した著者だけあって、刷り込みに絡んだ鳥(カラスやカモ)の話が面白い。実際に飼育しての観察なので、たくさんのエピソードが盛り込まれています。最終章の「武器とモラル」は、人間にまで考察が及び、考えさせられます。

なお、本書は文庫版からの新装版。文庫版訳者あとがき等も再録されています。

瀬名秀明 科学の栞 世界とつながる本棚】読了3作目