「花のにおう町」感想

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花のにおう町 (安房直子セレクション3)

花のにおう町 (安房直子セレクション3)

1983年刊。短編六編を収録。

どれもが幻想的・叙情的で、美しくもあり悲しくもある物語。

巻頭作の『小鳥とばら』が特に好き。生垣に囲まれた庭。少女と不思議な少年。「小鳥とばら」のパイ。生と死と成長。ホラー風味もあり、見事な幻想小説です。

『花のにおう町』も、花の精というメルヘン的な世界に、恐怖がそこはかとなく漂っているのが好い。

『ききょうの娘』は創作昔話風で、本書の中では少し異色。教訓話になりそうなところ、優しさを感じられる結末でした。

味戸ケイコさんのイラストも幻想味があって素晴らしく、自分好み。あと、初出一覧に雑誌『詩とメルヘン』の名前があって、なつかしさを感じたり。良作。

【光村図書 小学校教科書 国語 4年 紹介図書 平成27年度】