「日本の憑きもの」感想

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日本の憑きもの―社会人類学的考察 (中公新書)

日本の憑きもの―社会人類学的考察 (中公新書)

三津田信三「厭魅の如き憑くもの」に挙げられている参考文献の一つ。

決して整理されている記述とは言えないが、海外の妖術も含めて多くの事例が挙げられているので、興味深く読み進めることができる。

憑きもの筋の形成は江戸中期と考えられていて、貨幣経済の発展(つまり貧富の格差)と共にあったという。嫉妬や羨みが要因の一つ。陰陽師の時代からあると勝手に思い込んでいたので、時代の新しさに驚いた。

差別の問題もはらみ、嫉妬や羨みが表出しやすい現代のネット社会も考えると、色々と思うところのある一冊だった。