「YAKATA─Nightmare Project─」感想

YAKATA Nightmare Project (ダ・ヴィンチブックス―じゅげむBOOKS)

YAKATA Nightmare Project (ダ・ヴィンチブックス―じゅげむBOOKS)

約20年ぶりの再読。

講談社文庫の巻末著作リストにも記載されている、綾辻行人全ページ完全監修(装丁:京極夏彦 With FISCO)のゲーム攻略本です。

ゲーム「Nightmare Project YAKATA」は発売当時(1998年)にプレイ済。もう覚えていないので、いつか再プレイしたい。ソフトはまだ手元にあります。それとも、実況動画でも見てみるか……

本書はゲーム攻略本という体裁ではあるものの、「館シリーズ・ファンブック」としての性質もあるので、ゲームに関係なくファンにお奨めできる本ですね。

まず「小説の」館についても図面や紹介があります。図面は原作にも付されていますが、それぞれの館の部屋や構造などについても、分量のある文章で細かな説明がなされている丁寧な仕事っぷりです。

ゲームのストーリーについても、あらすじのように文章でまとめられていますし、綾辻さんのコメントが随時挿入されています。いわゆる「致命的なバグ」の回避方法についても書かれているので重要です(本書はゲーム発売2か月後の発刊)。

データページのモンスターリストでは、ネタ元となったミステリ作品の書名も記載。アイテムリストでは、ネタ元の書名だけでなく、脚注のような説明文も付されています。

そして、巻末の「自作を語る」として、綾辻行人自身のミステリ遍歴を含めた20ページ以上の「語り下ろし」が読み応えたっぷり。

さらに竹本健治、喜国雅彦さんとの鼎談が10ページほど。ちゃんと「あとがき」もあります。

また、奥付を見ると編集スタッフ一覧に書評家・杉江松恋さんの名前がありました。ミステリ界隈ではおなじみの人ですね。

他にも攻略本が2冊出ていますが、よほどのファンでなければ、完全監修の上記本で十分でしょう。

公式ナイトメア・プロジェクトYAKATA 攻略読本」では、ゲーム制作・松本氏との対談が収められています。次回作についてのアンケに「『暗黒館の殺人』 あまりに長くこのゲームに関わっていたので、小説の書き方、忘れた」との回答が……

ナイトメア・プロジェクト YAKATA 公式攻略ガイド (電撃攻略王)」には、「綾辻行人のポイント攻略」が2ページあります。

実はこの後、読書趣味が減衰していったため、アンソロジーで先に読んだ短編「どんどん橋落ちた」以外、これ以降の綾辻作を読んでいません(「Another」だけは数年前に読みました。大好きです!)。未知の作品に出会えるのが楽しみ!

綾辻作品を刊行順に読んでいるので、次はマンガ「YAKATA」(全三巻・綾辻行人原作)を読みます。