「殺人鬼 ――覚醒篇」感想

殺人鬼  ‐‐覚醒篇 (角川文庫)

殺人鬼 ‐‐覚醒篇 (角川文庫)

20年振りぐらいの再読。

歳をとるに連れてスプラッター的なホラーに耐性がなくなりつつあるんですが、わりとすんなり読めました。ただ、殺人の描写のところは読むスピードを上げてましたけど……

綾辻作品に付きものの「仕掛け」をはっきりと記憶していたため、初読時より衝撃度は低め。初読時にはホラーよりも「仕掛け」に驚いた覚えがあります。

昔はプロレスのデスマッチとか映像で見ていたこともあったけど、今は絶対に無理だなあ。スプラッター系は小説では読めても、映像で見るのは耐えられないと思う。

ところで、この「殺人鬼」はホラーへのバッシングが強まった時期の出版だったこともあり、作者あとがきに力が入っています。今回読んだ角川文庫版(最新の改訂版)のあとがきでも、作者の強い思いが感じられますね。

ちなみに、新潮文庫版(1996年)のあとがきも同様の熱の入れようです。そして、大森望さんの解説も面白い。

(引用者注:「霧越邸殺人事件」と「殺人鬼」について)

(略)栄えある解説者に指名されたこの機会に双方を再読してみたところ、だれがどう読んでも『殺人鬼』のほうが圧倒的に面白いではないか。『霧越邸』に軍配が上がるのは長さと値段と品の良さくらいである。

(※1996年「殺人鬼」新潮文庫版 309pより引用)

おい!(笑) でも、素晴らしい解説ですよ。興味ある方は新潮文庫版のほうもチェックしてみてください。

次は「霧越邸殺人事件」を読む予定です(刊行順に読んでいます)。