「鍵 自選恐怖小説集」感想
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1994/07
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
筒井康隆作品は以前に、長編は「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」「時をかける少女」「ロートレック荘事件」、短編集は「バブリング創世記」を読んでいます。ただ、例のごとく内容を覚えていません……
本書は「角川ホラー文庫」ということで、ホラーのみの短編集。収録されている短編のどれもが味のある作品です。
表題作の「鍵」は、ホラーというよりはサスペンスといった感じのスリリングな作。短編の代表作として良く言及されるだけはあります。
自分の好みは、ちょっと切なくて不思議な感覚のある作品。人によっては、モヤモヤが残って納得できないと感じるかもしれませんが、私は想像の余地があったほうがより怖く感じます。
本書では、「佇む人」「都市盗掘団」「くさり」「母子像」「二度死んだ少年の記録」の5編が素晴らしい。特に「母子像」かなあ。間違いなくホラーなのに、悲しくて切ない。幻想的な雰囲気のあるホラーは大好きですね。
あと、「池猫」はたった2ページ足らずの掌編にも関わらずインパクトが凄い。
他には風刺が利いた作などが収録されていて、なかなか読み応えのある短編集となっています。「ホラー」というジャンルでまとめられているので、合う人が読めばどれも楽しめると思います。