「英米ホラーの系譜 (ホラーセレクション 9)」感想
- 作者: R.スティーヴンスン,C.ディケンズ,Robert Louis Stevenson,Charles Dickens,金原瑞人
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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- 「びんの悪魔」ロバート・スティーヴンスン
- 「信号手」チャールズ・ディケンズ
- 「告げ口心臓」エドガー・アラン・ポー
- 「アウルクリーク橋でのできごと」アンブローズ・ビアス
- 「夜の声」ウィリアム・ホープ・ホジスン
8年ぶりの再読。まったく内容を覚えていない記憶力のなさ……
金原瑞人編。ポプラ社のサイトでは「小学高学年・図書館向け」とあり、すべて新訳*1で収録されています。
大人でも十分に楽しめますし、私のような幻想文学初心者には、古めかしい訳より新訳のほうが向いていますね。「重厚さが失われる!」との批判も多いでしょうが、それよりも私には「読める」ことが大切。
本書には編者の金原瑞人さんの冒頭解説が17ページもあって、古典ホラー入門に最適だと思います。
「びんの悪魔」は、なんでも願い事を叶えてくれる代わりに……という話。この前読んだ「猿の手」に通ずるものがあります。びんを買った値段より安く売り渡さなければならない、というルールがよく効いています。
「信号手」は最後のオチが見事に決まる作品。読み終えるともう一度冒頭から読み返したくなります。
「告げ口心臓」は独特な味わい。物語の組み立てというよりも、一つ一つの場面の心理描写がすごい。
「アウルクリーク橋でのできごと」は、今では予測可能なオチかもしれないけれども、オチに関わらず、死にゆく細やかな描写が素晴らしい。
そして、「夜の声」も怖い! 謎の菌に冒されていく話。小説な分、自分の頭でいろいろと映像を思い浮かべてしまう。映画「マタンゴ」の原案になっているらしい。映画も見ておきたいなあ。ちなみに、荒俣宏のあだ名は昔「マタンゴ」だったと、昔の「トリビアの泉」で言っていたような気がします。
いやあ、アンソロジーいいわあ。子供向けと思って手に取らないのはもったいない。とってもおすすめです!