「恐怖(Little Selectionsあなたのための小さな物語)」感想
恐怖 (Little Selectionsあなたのための小さな物語)
- 作者: 柴田よしき,フィリパピアス,W.サマセットモーム,W.W.ジェイコブズ,赤木かん子,Philippa Pearce,W.Somerset Maugham
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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- 「切り取られた笑顔」柴田よしき
- 「園遊会まえ」W.サマセット・モーム
- 「ハレルさんがつくった洋だんす」フィリパ・ピアス
- 「猿の手」ジェイコブズ
幻想文学に入門したくて手に取ったアンソロジー。
どれも女性の狂気が描かれています。読み終わってから気づいたんですが、表紙に「female horror」と書いてありました。
「切り取られた笑顔」は個人サイトの流行始めの頃の話で、一瞬とまどいが。1998年の作品なんですね。女性同士の嫉妬心がメインで、ミステリーですが普段は読まないタイプの話。こういったものが読めるのもアンソロジーのいいところ。「不条理な殺人」というアンソロジーにも収録されているとおり、ちょっと後味悪いタイプの作なので人を選びそうですが、私は好きですね。
「園遊会まえ」はカタカナの登場人物名が苦手な私には、ちょっと読みにくかった話。縁戚関係や登場人物が多くて。ただ、話は面白いです。話を聴いている人たちの態度の冷たさが、また怖い。
「ハレルさんがつくった洋だんす」の作者は「トムは真夜中の庭で」の作者。「トムは~」は子供の頃に読んで印象に残っている作品で(話の筋はすっかり忘れましたが)、いつかまた読み直してみたく思っています。この収録作は、一読後は良く分からなくて解説を読んだら意味が分かりました。読解力のなさを嘆きたい。
「猿の手」は既読。金原瑞人訳で収録されています。
いわゆる「ヤングアダルト」向けのアンソロジーは活字も大きく読みやすいですね。収録作も少なく、読書の達成感を手軽に味わえるので、大人が入門的に読むのもいいと思います。子供向けに翻案されているわけでもなく、中身は一般図書と同じですし。