「若い読者のための世界史」感想
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若い読者のための世界史(上) - 原始から現代まで (中公文庫)
- 作者: エルンスト・H・ゴンブリッチ,中山典夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/04/21
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若い読者のための世界史(下) - 原始から現代まで (中公文庫)
- 作者: エルンスト・H・ゴンブリッチ,中山典夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/04/21
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原著は1935年作。教科書とは違い、物語的に記述されているので楽しい。2004年の邦訳(2012年文庫化・本書)なので、訳も読みやすいです。世界史の知識はすっかり抜け落ちているので、山川の『詳説 世界史図録』を参照しながら読みました。
第二次大戦を経て、「50年後のあとがき」が下巻に新たに付されています。
世界史というよりヨーロッパ史ですが、まったくと言っていいほど知識がない自分にとっては、物語のようにさっと読める本書はありがたい。良本。
「高野聖」感想
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- 作者: 泉鏡花
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/06/21
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『義血俠血』『夜行巡査』『外科室』『高野聖』『眉かくしの霊』を収録。
高野聖は再読だけど、蛭(ひる)のイメージが強烈すぎて忘れることができません。昔、(たしか)谷山浩子さんが、男を好きになるとその男が次々に動物へと変化してしまう悲しい女の物語――といったようなことをどこかで書いていて、なるほど、そんな見方もあるのかと思ったことがあります。どうしても、僧侶視点で読んでしまうので。
外科室は、文学少女シリーズ第6巻のモチーフの一つということで再読。まさに耽美的。
泉鏡花=難解というイメージも、義血俠血・夜行巡査はサスペンス風味もあって、通俗的な小説としても楽しめます。
【『“文学少女”と月花を孕く水妖』モチーフ】『外科室』
「水仙月の四日」感想
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- 作者: 宮沢賢治,伊勢英子
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1995/09/01
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絵も作も素晴らしい一冊。伊勢英子さんによる絵は、宮沢賢治が幻想的に描き出す、自然の怖さや美しさと見事に融合しています。
雪の白、太陽の光、空の青、そして雪原を歩く赤い服を着た一人の子供。鮮やかな色彩と賢治独特の比喩表現が相まって、怖さも優しさも感じられる幻想作です。傑作!
【光村図書 小学校教科書 国語 6年 紹介図書 平成27年度】
「草迷宮」感想
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- 作者: 泉鏡花
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1985/08/16
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読む前に読む。『文学少女』シリーズ第6巻のモチーフ(他に『夜叉ヶ池』『外科室』)。注釈がないため、ネットのブログ記事などを参考にしました。
なかなか物語の筋を追うのは大変も、いわゆるポルターガイストの描写など、場面それぞれは面白く読めます。また、姑獲鳥(うぶめ)や相孕み(あいばらみ)の迷信など、民俗学的な興味をひくところも。
怪談話でもあるのに、ホラーという怖さよりも、幻想的で美しさを感じられるのが大好きです。
【『“文学少女”と月花を孕く水妖』モチーフ】
「鏡花幻想譚 5 天守物語の巻」感想
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- 作者: 泉鏡花
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1995/04
- メディア: 単行本
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読む前に読む。ライトノベル「文学少女」シリーズ第6巻のモチーフ『夜叉ヶ池』ほか、戯曲4編が収録。
装飾の多い擬古文で読むのが難儀な泉鏡花。でも、その世界観は好みで、どうにか読みたい。本書には、あらすじ・登場人物紹介・作品の解釈を含めた注記があり、本文は総ルビ。戯曲ということもあり、筋を追えなくなることはなくすんなりと読めました。
『夜叉ヶ池』は、凄みのある傑作。村社会や伝説、異界、妖怪が描かれ、翻弄される男女の恋の結末は。物語自体はけっして難解ではなく、ユーモアもありつつ、その展開はまさに劇的、ドラマチック。
同収録の『天守物語』も『夜叉ヶ池』に劣らず、現実と異界が入り混じる中でのロマンあふれる幻想物語。
両作ともに、今の時代から読めば、男性的な原理の社会を批判していると捉えることもできましょう。
解説や注釈が充実している本を探し出す手間はあるけれど、色々と読みたい泉鏡花作品です。ああ、ほんと素晴らしい。
【『“文学少女”と月花を孕く水妖』モチーフ】『夜叉ヶ池』
「“文学少女”と慟哭の巡礼者」感想
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- 作者: 野村美月,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2007/08/30
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シリーズ本編第5作。モチーフは宮沢賢治『銀河鉄道の夜』。となれば、ある程度の悲話を思い描けるも、想像を遙かに超えた壮絶なストーリーでした。
もう、ここまで書ききる著者のパワーには感服します。『銀河鉄道の夜』の作品内容だけでなく、賢治という作家性にまで踏み込んでの構成は、鮮やか。
決して感情移入できるような展開ではないですが、突き抜けた魅力を本作には感じます。
「夜市」感想
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- 作者: 恒川光太郎
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/05/24
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2005年作。ホラー小説大賞受賞作ですが、ホラーというよりは幻想寄り。
日常から異界へと続く幻想的・叙情的なストーリーの中で、ロジックがあるのが素晴らしい。ただの雰囲気話ではなく、構成の妙が楽しめます。決して難解な表現や文章ではないのに、濃密な世界観。
とても好みの一作で、他の作品も読んでみたいと思います。なお、解説は東雅夫氏。
【金原瑞人 ふしぎ文学マスターが薦める100冊 https://goo.gl/6TMs7H 】読了43作目