「ローワンと魔法の地図」感想

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ローワンと魔法の地図  (リンの谷のローワン 1)

ローワンと魔法の地図 (リンの谷のローワン 1)

児童向けの王道的なファンタジー。ただし、主人公の少年は内向的で巻き込まれ型。大人6人に子供1人の冒険パーティ編成はユニークかも。

読者の子供からすれば、等身大の主人公に感情移入しやすいでしょう。ファンタジーではおなじみ、いわゆる「ハーフエルフ」的な出自に関するキャラクターの葛藤も描かれていたり、それなりに深み・重みもある物語で、読み応えもあります。

冒険中の恐怖心をネガティブに描かいていないところが、本書の特長でしょう。佐竹美保さんの絵も素晴らしい。

【光村図書 小学校教科書 国語 5年 紹介図書 平成27年度】

「オリエント急行の殺人」感想

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オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

古典的名作を初読。もちろんネタバレは受けているものの、会話の妙などもあり楽しく読めました。

まるで「頭の体操」的でなぞなぞのようなトリックだけど、解説の有栖川有栖さんが言うように、ミステリファンにとっては意外性があります。

そして、一発ネタをこれだけの魅力的な物語にしてしまう筆力。殺人の現場を想像すると残忍極まりないのに、からっとした作風で、ミステリマニアでなくても楽しめるであろうエンタメ性が魅力です。海外ミステリは新訳でも読むのに時間がかかることが多いのですが、クリスティー作は読みやすいですね。

【有栖が語るミステリ100】読了27作目
【本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド】読了15作目
【新版 東西ミステリーベスト100 海外編】読了17作目 11位
【旧版 東西ミステリーベスト100 海外編】読了18作目 34位

「つぎ、なにをよむ? 5・6年生」感想

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つぎ、なにをよむ? 5・6年生

つぎ、なにをよむ? 5・6年生

2012年刊。

古い作品から最近の作品まで、幅広く紹介されています。教科書ではあまり紹介されない、ミステリーやホラーも取り上げられているのが良いところ。

説教っぽさや堅苦しさもなく、そして奇をてらうこともなく、素直に読書を楽しめるようなブックガイドになっていると思います。

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「ふたりのイーダ」感想

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ふたりのイーダ(新装版) (児童文学創作シリーズ)

ふたりのイーダ(新装版) (児童文学創作シリーズ)

1969年作。「原爆の悲劇を子どもたちに語りつぐ古典的名作」と紹介されているので、多少身構えながら読み始めたのですが、まず第一に幻想小説(ファンタジー)として素晴らしいです。

小さな木の椅子が言葉を話し動き回るというファンタジー。部屋に残されたカレンダーや絵本にまつわる謎。戦争の悲劇をモチーフに、叙情にあふれた物語です。そして、最後は力強い結末に思えます。

司修さんによる絵も、幻想的な物語に相応しいものでした。

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「こちら『ランドリー新聞』編集部」感想

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こちら『ランドリー新聞』編集部 (世界の子どもライブラリー)

こちら『ランドリー新聞』編集部 (世界の子どもライブラリー)

原著は1999年、アメリカで出版された児童文学。

テーマは表現・報道の自由(具体的には合衆国憲法修正第一条)。5年生の少女が作成した学級新聞をきっかけに、生徒と大人の攻防が始まります。

「バーンズ博士はよい校長先生であり、よい管理者です。しかし、よい担任教師ではないのです」といった記述にあるように、単に大人が悪・子供が善という対立構図ではありません。親の離婚などの重たいテーマも含みながら、物語にはユーモアや皮肉が込められ、読後感はさわやか。理解ある周囲の大人たちの存在が頼もしい。本書そのものが体験学習のよう。

小学校中級からとありますが、中学生でも十分に通用するような深みのある良書だと思います。伊東美貴さんによる表紙や挿し絵もかわいくて好み。

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「りゅうおうのおしごと! 6」感想

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中盤までのラノベ的な描写は、どうにもこうにも合わなくてスルー(笑)。

一方、物語後半の、盤駒にまつわる話や銀子の三段への昇段をかけた一戦には引き込まれました。対局の進行や勝負に絡んだ対局心理の描写は、シリーズを通じて素晴らしい。脳内将棋盤の話(符号で読む)など、実際のエピソードが上手く話に組み込まれています。

将棋部分については、観る将棋ファンとして信頼できる作に違いはありません。

「漁師さんの森づくり」感想

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漁師さんの森づくり -森は海の恋人-

漁師さんの森づくり -森は海の恋人-

2000年刊。気仙沼でカキの養殖業を営む著者が、海の生き物にとって、川の上流での森林環境が大切だということを解き明かします。

事業者の目線で書かれているので、現場の生の感覚が伝わってくる。海外へ調査に出かけたり、学者とも連携を取ったりと、その行動力がすごい。

後半では科学的な記述もしっかりとあり、バランスの取れた良書だと思います。

【光村図書 小学校教科書 国語 5年 紹介図書 平成27年度】