「あこがれくじら おーなり由子作品集 1」感想
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- 作者: おーなり由子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1998/12
- メディア: 文庫
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久しぶりに読んだけど、やっぱり涙が……。自分の心の琴線に見事に触れるんです。理屈じゃない。
「六月歯医者」の奇妙でユーモラスな発想、「はくしょんの時計屋」での少女と老人のちょっと切ないファンタジー。
兄妹を描いた「春のいちれつ」の見事なラスト。「おてんきチップス」は、今度アニメ映画化される「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を思い浮かべたり(ドラマを見たのは昔なので記憶に自信ないけど)。
ピアノ弾きを描いた「てのひらの夜」は、谷山浩子の楽曲「ひとりでお帰り」を連想させました。自分の淋しさが、誰か見知らぬ人の淋しさを励ます――この感性が本当に素晴らしいです(月が出てくるところとか、谷山さんは本書から着想を得たのかと思うくらい)。
叙情とファンタジーにあふれた、まさに珠玉の傑作短編集です。
絵本作家として有名ですが、初期のコミックスが埋もれてしまっているのは勿体ないですね。復刊して欲しいなあ。
おーなり由子さんのコミックは、初期の「りぼんコミックス」4作しか無いんですよね。そこから抜粋して文庫版作品集が2冊。りぼんコミックス収集するかなあ。気長に。