「眼球綺譚─Yui─(綾辻行人×児嶋都)」感想

眼球綺譚 ―COMICS― (角川文庫)

眼球綺譚 ―COMICS― (角川文庫)

読んだのはKindle版。紙版だと、山咲トオルさんによる「実録 児嶋綺譚」(2ページ)が付されているようです(Amazonのなか見!検索の目次による)。

好きな小説作品の漫画化・実写化というものは、常に「がっかり」の危険性をはらみ、「原作のほうがー、原作のほうがー」となり、更に「原作を汚すなー」と怒り、「これで原作の善し悪しを判断しないで!」との懇願へと変わっていくものです。

でも、本作は出版社主導のマンガ化ではなく、綾辻さん本人が児嶋都さんのマンガに惚れ込んだことがきっかけとなっているので、そういった心配はありません。

本書収録の一編『鉄橋』についての原作者解説で「実を云うと原作のほうは、いま自分で読み返してもさっぱり面白くないのである。ところがこの漫画のほうは面白いし、なかなか怖い」とまで書かれています。いや、確かにあまり面白くなかったのですけど(笑)

過去にテレビドラマ化(霧越邸殺人事件・鳴風荘事件)に際しての綾辻さんの嘆きを何度か読んでいる者としては、こんなにも嬉々としている綾辻さんは微笑ましくも感じるぐらいです。

ところでホラー小説を読んでいるときは、あえてシーンを想像しないようにしてやり過ごすことがあります。

本書の原作「眼球綺譚」であれば『特別料理』のゲテモノ食いの場面。でも、マンガだと嫌でも目に入ってしまう! うぅー、こ、怖いです。マンガは怖い!

綾辻作品を刊行順に読んでいるので、次は「最後の記憶」を読みます。