「ムーミン谷の仲間たち」感想
- 作者: トーベ・ヤンソン,山室静
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/11/15
- メディア: 新書
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9つの作品が収められている短編集。
特に「目に見えない子」というニンニの話には泣いてしまいました。「泣ける」という言葉を褒め言葉として安易に使いたくないのですが、まあ本当だったから仕方がない。
皮肉屋のおばさんにいじめられて姿が「消えてしまった」女の子。それがムーミンたちと交流することによって、足が見えるようになり、やがて……。ムーミン谷でいちばん自由で自分を確立しているミィが、大きな役割を果たします。
他にも、羽海野さんが紹介していた「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」、「しずかなのが好きなヘムレンさん」、「ニョロニョロのひみつ」などなど、どれも印象深い話ばかりです。
どの短編も「自由」「本当の自分」への希求がテーマになっています。子供には子供なりの、大人には大人なりの自由・自分らしさを求める様が描かれていて、そこには一抹の淋しさがあり、でも決してユーモアを忘れることなく、生き生きとした楽しい物語の数々。
巻末に付されている高橋静男さんの解説、青い鳥文庫の新装版で新たに追加された石崎洋司さんのエッセイ、お二人の文章も素晴らしいので、ぜひ読んでみてください。表紙は単行本(ミィとニンニが一緒に遊んでいる)の方がいいなあ。
- 作者: トーベ・ヤンソン,Tove Jansson,山室静
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/10/22
- メディア: 単行本
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