「ムーミンパパの思い出」感想
- 作者: トーベ・ヤンソン,小野寺百合子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/09/12
- メディア: 新書
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作者であるトーベ・ヤンソンの生い立ちや、書かれた時代背景を考えるともちろんのこと、何も知らずに現在の読者が読んでも胸を打つ作品だと思います。
ニョロニョロの話が印象的です。
ただ漂い続けているだけの存在、ニョロニョロ。いつも水平線に辿り着こうとしているが、決して辿り着くことはできない。そして、そんなニョロニョロに憧れさえしてしまうムーミンパパ。
子供時代のムーミンパパは、みなし子ホームの厳しい規律から自由を求めて外の世界へと旅立ちます。そこで、色々な生き方・考え方をする人(生き物)たちと出会い、自由の意味を考え、徐々に成長していく物語。
本書はムーミンパパの手記を子供たち(ムーミンやスニフ、スナフキンたち)に読み聞かせるという体裁を取っているため、途中に挟まれる子供たちとの会話が、物語に更に深みを与えています。
なんだかこう書くと、すごく重たい話に聞こえてしまいそうですが、決してそうではありません。おばけや竜の茶目っ気ぷり、ミムラ夫人の多産っぷり! そうそう私の大好きな「ミィ」も、この巻でやっと出てきました。ヤンソン自身による挿絵も楽しいです。そして、ムーミンママのハンドバッグ!(笑)
これから何度か読み返していくであろう、自分にとって思い入れのある作となりました。
そうそう、マンガ「ハチワンダイバー」の作者・柴田ヨクサルさんの「ヨクサル」って、本書に出てくるスナフキンの父親の名前からだったんですね! 変わったペンネームだなあって前から思っていました。
ハチワンのテレビドラマ面白かったなあ。原作も途中までは読んでました。いつか見直したい、読み直したい。