「暗闇の囁き」感想

暗闇の囁き (講談社文庫)

暗闇の囁き (講談社文庫)

20年ぶりぐらいの再読。

解説によれば「囁きシリーズ」は「記憶」が主題らしい。

「記憶」と言えば……

屍蠟(しろう)というキーワードをなぜか「水車館の殺人」で目にしたと記憶していて、この前「水車館の殺人」を再読した時に出てこず、いったい自分の記憶はなんだったんだろうと思っていたら、この作に出てくるのでした。

最後の場面に入った時、ふと自分の頭に「屍蠟」というワードが浮かび、「あ、もしかして、これが……」と記憶が甦ってくる様は、まさに本書の主人公の記憶が呼び覚まされる様と重なって、人間の記憶のいい加減さ・すり替えを実感しつつに読み終えました。

ああ、やっぱり「囁きシリーズ」好きだなあ。