「迷路館の殺人<新装改訂版>」感想

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

私にとって思い入れのある作品。と言うのも、読書の世界に誘ってくれたのが本書なのだ。

全ての始まりは谷山浩子の音楽に出会ったことで(1993年の終わり頃)、谷山さんの短編小説集「猫森集会」(新潮文庫版)を手に取り、解説を書いていたのが綾辻行人……その解説文の熱量に興味を抱き、しかも子供の頃に江戸川乱歩やホームズを何度も繰り返し読んでいた私にとって「推理小説」という響きが胸を打ち……そして、綾辻作品に初めて触れたのが「迷路館の殺人」なんである。

そうして、さっぱり本を読まなくなっていた私は、再び本を読むようになった。

20年以上振りに読んでみて、中途半端にストーリーを記憶していたこともあり、最期の結末に驚かされてしまった。自分が記憶していたのは、作中作の「作中」の部分だったのだ。もしかしたら、ミステリを読み慣れていなかった当時の自分は、結末を理解できていなかったかもしれない。

思い入れのある本を再読して、再び熱中できたのは幸せなこと。やっぱり私は綾辻行人が好き! 新本格派ミステリーが好き! と再確認できたのだった。