「ギリシャ棺の秘密」感想

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ギリシャ棺の秘密 (角川文庫)

ギリシャ棺の秘密 (角川文庫)

これは面白いし、凄かった。

国名シリーズ4作目ながら、作中時系列的にはエラリー最初の事件。ちょっと生意気で口が悪いところとか若気の至りが描かれていて、発表順に読んでいた分、ニヤリと楽しめました(たぶん翻訳も良いのだと思う)。

二転三転するのはロジックだけならず、登場人物のキャラクターにも及びます。ストーリーとキャラクター、両方に満足できる傑作(ちょっと長いが)。

ジューナにもっと出てきて欲しい!と思うのは、キャラで読むのに慣れてしまった現代の読者のせいか(笑)。

ワープロやパソコンのない時代に、これだけの緻密な長編を書き上げてしまう。しかも、この年(1932年)には評価の高い4作(本作・エジプト十字架の秘密・Xの悲劇・Yの悲劇)を刊行しているわけで……。

いやはや、日本の(新)本格推理作家が口を揃えてクイーンに言及するのも、実感をもってよく理解できました。

【喜国雅彦・国樹由香「本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド」】読了7作目