「ルシファー・エフェクト」感想

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ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき

ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき

有名な心理学実験「スタンフォード監獄実験」の実施者本人よる詳細なレポート。「アブグレイブ刑務所」での捕虜虐待にも触れて約800頁の大部。各種の心理実験(ミルグラム実験)にも言及があります。

「システム」が「状況」を作り出し、「状況」が普通の人々を悪魔に変える。個人の資質に全ての理由を求めるのはいけない(ただし加害者が免責されるわけではない)。

学術書というよりは一般向けに書かれているようで、心理学の本をほとんど読んだことがない(大昔に入門書やフロイト・ユングを数冊読んだぐらいの)自分でも読み通せました。

最後に著者による解決策が示されてはいるものの、読後の感情は快方されません。それだけ本書で提示されている現実は重いです。

世の中が「自己責任」を問う風潮にあって、自分自身もそう考えがちになっていることを認識できました。分冊・文庫化して、もっと読まれることを願います。