「宮沢賢治全集 7(ちくま文庫)」感想

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宮沢賢治全集〈7〉銀河鉄道の夜・風の又三郎・セロ弾きのゴーシュほか (ちくま文庫)

宮沢賢治全集〈7〉銀河鉄道の夜・風の又三郎・セロ弾きのゴーシュほか (ちくま文庫)

【きっかけ:雑誌「MOE 2015年1月号」羽海野チカ・インタビュー】

雑誌「MOE 2015年1月号」(20p.)で羽海野チカさんが紹介していた本。

それから宮沢賢治。「銀河鉄道の夜」だと、文庫判で読んだときに、第一~三次稿、最後に完成まで載っているのがあって、全部読んで成程と思いました。子ども時代は完成品だけでいいんだけど、職業になったときは、草案にすごく意味がある。ありがとうございます!と思って読みました。

MOE (モエ) 2015年 01月号 [雑誌]

MOE (モエ) 2015年 01月号 [雑誌]

  • 作者: 羽海野チカ,イエラ・マリ,ヒグチユウコ,桑原奈津子,石井ゆかり
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2014/12/03
  • メディア: 雑誌
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注釈に「ちくま文庫版全集 7」とあったおかげで、探す手間が省けました。

宮沢賢治の作品は新潮文庫版のほうで、結構読んだ記憶がありますね。

  • 税務署長の冒険

密造酒摘発をめぐる、税務署長と村人の物語。署長と村人のやり取りにスリル感があって、エンターテインメント作品として素直に面白い。前に読んだ「毒もみの好きな署長さん」(1悪人の物語 (中学生までに読んでおきたい日本文学))もそうだし、「注文の多い料理店」もそうだけど、ミステリー・サスペンス作として読んでも面白いと思います。

  • 洞熊学校を卒業した三人

寓意を読み取るべきかもしれないけれども、ショートショートとして面白い。三人(3匹)のそれぞれのストーリーに上手くオチがついています。

  • 銀河鉄道の夜

これは素晴らしいよねえ。この文庫には異稿(第一~三次稿)も収録。説明的な博士の存在が消去されている現在の四次稿のほうが良いですね。

ますむらひろし版のマンガ(アニメ映画)も好きでした。活字を拾っているシーンが、なぜか印象に残っています。

  • 風の又三郎

不思議な転校生をめぐる小学生たちの物語。現実と幻想が交叉してる感じが心地いい。Wikipediaの解説のように「通過儀礼」を読み取ってもいいんだけど、なんか賢治作品って解釈する前に浸ってしまうんですよね。別に理解する必要はない、という感じ。

「風の又三郎 ガラスのマント」という映画(1989年)が良かった記憶があるんだけど、DVD化されてないんですねえ。