「暗黒館の殺人」感想
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黒猫からやっと辿り着いた暗黒館。
かつての館シリーズネタもちらほら登場して、何やら集大成的な匂いがしてわくわく。乱歩とか正史的な匂いもプンプン。
そして、1巻にはや解説がついているという異色?な構成。そして、今作での探偵のポジションを何となくバラされる(笑……えない)。
約600ページ読んで、各登場人物の自己紹介に次ぐ自己紹介と、館の間取り案内がやっと終わった感じ。いやー、どうなっちゃうんだろう? 綾辻さん、Twitterのプロフに「最も好きな自作はたぶん『暗黒館の殺人』」って書いてるよね。期待しちゃうよー。
二巻読了時:
長いんだけど長さを感じません。でも連載期間が4年超だったということは、約2年?でやっとここまで……そう考えると長い。
「記憶」「少年・少女」――館シリーズだけでなく「囁きシリーズ」の雰囲気もありますね。
第三巻に続きます。600ページを超えていて分厚い!
三巻読了時:
読んでいると自然に頭の中に谷山浩子の「王国」(綾辻行人サイドボーカル参加)が流れてきました。これ、テーマ曲「王国」でいいでしょう。
「歪んだ王国に ぼくたちは住んでる」「ひとすじの光も 射さない闇の底」「死者のざわめき」「錆びついた仮面と 砕かれた時計たち」。
続く第四巻の帯には「全編が目眩く解決編」と。これは「館」。ならば解決編とは即ち崩壊編。
いま綾辻作品を刊行順に読んでいて黒猫館までは再読でした。これは初読。だから、自分にとっては約二十年ぶりに味わうドキドキ感なのです。
四巻読了時:
中也の秘密が明かされたときに、ああ本当に「館」の集大成なんだなと感慨深くなりました。このあとも館シリーズは続きますけど、これで終わっても思わず納得してしまいそうな。
三巻の帯に「本格&幻想(ゴシック)ミステリ」とあって、やっぱり自分は「幻想」好きなんだと改めて自覚しました。自分の好きなモチーフが沢山詰め込められていて。
子供の頃に何度も繰り返し読んでいた、江戸川乱歩。もうその頃の気持ちを思い出すことは出来ないのだけれど、いま暗黒館を読んでいた時の気持ちは、その頃と同じだったのだと思います。
読者として本当に相性がいい作家なんですよね。なかなか感性が一致する作家と出会えることはそうそうないわけで、谷山浩子「猫森集会」の文庫版解説で綾辻行人を知ったのは素晴らしい幸運でした。
なんだか、自分の源流を思い起こさせてくれる、そんな作品でした。決して他者とは共有できない、自分だけの思い。本当に読めて良かった。
綾辻行人作品を刊行順に読んでいるので、次は「月館の殺人(綾辻行人×佐々木倫子)」を読みます。