「狭き門」感想

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狭き門 (光文社古典新訳文庫)

狭き門 (光文社古典新訳文庫)

読む前に読む。『文学少女』シリーズ第7巻のモチーフ。

ノーベル文学賞作家による1909年作。聖書からの引用も多く、神への信仰と愛を描く。

アリサの苦悩の描写がもっと具体的であれば分かりやすいのかもしれないけれど、主人公ジェロームの一人称であることや、一部は手紙形式ということもあって、キリスト教に疎い自分にはアリサの言動の理解は難しい。禁欲的信仰を批判的に描いたとも言われているので、共感はできなくて当然なのかな。訳は読みやすく、文章や表現に難解さはありません。

いちばん面白かったのは巻末の詳しい解説。同性愛(少年愛)者でかつ妻もあり、愛人との間に子も生まれ……という人生が述べられています。本作はジッドの家庭環境や実生活が元になっているらしく、そういった背景も興味深い。

【『“文学少女”と神に臨む作家』モチーフ】