「毒入りチョコレート事件」感想

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毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)

毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)

一つの事件を6人がそれぞれ推理し発表していく「多重解決」物としての代表作。

各人が個々に捜査することもあり、情報がオープンではないので、読者が一緒に推理はできません。

バリエーションに富んだ推理方法や犯人、それによる各人の会話・軋轢が読みどころです。

推理作家の創作ノートを見ているような楽しみもあります(実際、作中の一つの推理は、原型となった著者の短編での結末になっているようです)。

ロジャー・シェリンガムシリーズは毎回新たなミステリの趣向があるので、前4作を読んでいるとより楽しめる作品だと思います。前作までの自己批評的・ミステリ論的な著述の集大成といった感じがしました。

【有栖が語るミステリ100】読了14作目