「ガラスの麒麟」感想

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ガラスの麒麟 (講談社文庫)

ガラスの麒麟 (講談社文庫)

冒頭の表題作が、白眉の一作。ミステリの技巧と心理描写が相まっています。

そこから連なる短編ミステリーとして、犯人像や解決のもやっとした部分については、「本格ミステリ・ベスト10」1998年版での書評(2位)が参考になりました。

もはや悪者を断定できなくなった97年頃の犯罪事件における「理不尽」な社会状況。当時は災害やテロなどもあったり、若者には「個性(アイデンティティ)」を強く求める風潮で、今とはまた違った独特な閉塞感があったのは、自分でも実感がありますね。

本書の感想とは別ですが、書評によって自分には見えなかったものが見えてくるなあ、と改めて思います。

著者作では「魔法飛行」や「ささら さや」も、また再読してみたいですね。

【本格ミステリ・クロニクル 300】読了25作目 1997年作